新卒で地域おこし協力隊に。デザインの力で「矢板」の魅力を伝えたい

栃木県矢板市

くろき あやの

黒木 彩乃

栃木県宇都宮市出身、小学校進学前に父親の転職に伴い矢板市へ引っ越し、小・中・高と矢板市で過ごした。 手芸や写真加工などデザイン・創作を趣味とし、デザインを学ぶため東北の大学へと進学。 大学卒業後に矢板市の地域おこし協力隊でデザイン職に応募して採用され、2022年6月に着任した。

一どんな活動をされていますか?

デザイン系の仕事を志望して就活をしていたがうまく行きませんでした。大学卒業して、地元に帰ってきたタイミングで、矢板市が地域おこし協力隊を募集していることを知りました。偶然にもデザイン職を募集していたので、周囲の勧めもあり応募をし、地域おこし協力隊に入隊しました。

地域おこし協力隊としてのミッションは、矢板のふるさと納税をもっと多くの人に知ってもらい、納税額をアップすることです。新しい返礼品を開発・発見することと、全国の多くの方々に知ってもらうにはどうしたらいいか考えています。自分のデザインの力で実現していきたいところですが、今は市民の考えを知る期間だと思って、行動しています。

その一環として、ふるさと支援センター「TAKIBI」で、イベントの企画や運営を行っていました。これまでにハロウィーンイベントやマルシェイベントなど開催し、イベントの宣伝に使用するポスターやチラシのデザインを行いました。

一今やっていることについての課題はなんですか?

自分の仕事は0から1を生み出すような仕事ばかりで、いつも何かしら壁にぶつかっています。周りの友人たちや同級生と違って、新卒で地域おこし協力隊のような仕事をしている人自体、ほとんどいないですし、仕事で壁にぶつかる理由についてもほとんどが「前例のないこと」ばかりだからです。

入隊当初はデザイナー職として、地域おこし協力隊のミッションにどう貢献できるのか全く見えず、何のために入隊したのか分からなくなるくらいに悩んでいました。入隊から数ヶ月経っても、入隊前に抱いていた「自分の住んでいた街・矢板市をもっとアピールしたい!」という気持ちを変わらず持っていることが分かったので、今はそのためにできることを少しずつやろうとしているところです。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

友人と地元トークをしたときに、自分の地元に何があるのかうまく喋れなかった経験があります。基礎知識として、りんご生産量が県内1位だと知っていましたが、青森県産のりんごとどう違うのか語ることができませんでした。

また、矢板には大きなお祭りと有名な伝統工芸品がありません。東北には「ねぶた祭」「七夕まつり」などの大きなお祭りがたくさんあって、「南部鉄器」などの工芸品もすぐに思いつきます。

大きなお祭りについては、なかなか自分たちの力だけで開催できるものではないと思いますし、伝統工芸品も自分が知らないだけですでにあるのかもしれませんが、どちらも地元にあったら嬉しいなと思うことです。

お祭りや工芸品だけではなく、なにか自分たちの力で矢板の名物と誇れるようなものや場所を生み出すことができたらいいなと考えています。

一今後の目標はなんですか?

地域おこし協力隊のミッション(ふるさと納税額のアップ)実現のために、自分のデザインで貢献していきたいです。具体的には、ふるさと納税の返礼品の魅力が多くの人に伝わるように、今はふるさと納税サイトで表示するサムネイル画像を作っている最中です。

すでにいくつかのいちご農園の方のサムネイル画像を作成し、既存の画像に差し替えたところ、そのサイトのランキング上位に食い込みました。もしかしたら、自分が作った画像で判断されてアクセスが増えたのかもしれないと思い、嬉しかったです。

個人の目標としては、地域おこし協力隊を終えた後もデザイン関係の仕事をしていきたいと考えています。そのためにも今の仕事を通じて、自分のデザインスキルアップを図っていきたいです。デザインといっても、ポスターや画像の作成といった静止画のデザインだけでなく、動画の撮影や編集、インテリアなどの空間のデザイン、そしてイベントを企画することもデザインの一つだと捉えています。そのような複数のデザインを手がけられるウルトラマルチクリエイターみたいになることが最終目標です。

地域おこし協力隊の任期を終えた後も、このデザインの力で矢板の発展に少しでもお手伝いできたらいいなと思っています。

編集後記

『地域おこし協力隊に関する調査報告書』によると、新卒で地域おこし協力隊に入った人は全体の8%にも満たないそうです。また、地域おこし協力隊といっても、役割は様々ですから、黒木さんの悩みはもしかしたら日本中で黒木さんしか経験していないことなのかもしれません。
エンジニアの世界では、新卒1年目からこれほど裁量のある仕事を任せられるケースは極稀です。黒木さんの顔つきも入隊直後に初めてお会いしたときと、半年近く経った今とでは全く違うので、短期間で一般的な新卒の人が経験しないような経験を積むことで、急速に成長できるのかなと思いました。
そして、成長した力を地域おこし協力隊の任期中・後に地域に還元していく流れも素敵だなと思いました。

-コーディネーター紹介-

ID 栃木県矢板市

うちぼり ゆうた

内堀 雄太

東京都杉並区出身で、生まれも育ちも現住所も東京。
2020年5月に株式会社VSN(現:AKKODiSコンサルティング株式会社)に中途入社。
インフラエンジニアとして業務従事する傍ら、Social Innovation Partners活動に参画。