熊取町から泉州地域を盛り上げる!自ら走り出した観光協会

大阪府熊取町

みなみうら けいじ

南浦 敬司

くまとりにぎわい観光協会 事務局長
大阪府守口市出身。長年旅行会社に勤務されており、熊取町とは旅行企画で縁がつながる。 企画を運営する会社への変革が巻き起こった旅行会社でのあゆみを、観光協会の企画づくりにも活かしている。 海外旅行では人と話して現地の価値観に触れるのが一番の楽しみ。

一どんな活動をされていますか?

くまとりにぎわい観光協会の事務局長をして4年目になります。観光協会は2021年に10周年を迎えました。当初は役場が主導でやっておりましたが、2019年に私ともう1人を雇用して活動を更に広めていこうという動きがあり、2021年からは一般社団法人にもなりました。観光協会で自走できているところはなかなかないと思いますが、自走することをめざして活動しております。

熊取は小さな町で、人口は4万2千人。町の方に楽しんでいただくことに加えて、近隣市町村の方にも熊取町の面白いところを知ってもらい、マイクロツーリズムを広めたいと思っております。2025年には大阪万博も控えており、外国の方も含め多くの方々が大阪にいらっしゃる事が予想されます。町としての対応はもちろん、泉州一体を盛り上げていきたいですね。

KIX泉州ツーリズムビューローという、堺以南の全市町村の長が理事の団体があります。初めは硬いイメージでしたが近年は事務局長会議を開けるようになり、事務局の代表が情報交換をして、泉州の中でお互いに教え合える関係になってきました。

観光協会が主催のイベントは、まち歩きや熊取町の方言のかるたとり大会などを開催しております。町だけで盛り上がるのではなく泉州が盛り上がるように、近隣市町村とのつながりを創れるようなイベントができればと、2021年は隣の貝塚市と「まち歩き」を開催しました。熊取町から貝塚市へ向かって歩くイベントです。こういった活動も増やしていきたいと思っております。

一今やっていることについての課題はなんですか?

観光協会は熊取駅に隣接しており、関西空港があるお隣の泉佐野市との境の近くに位置しております。そのため、「大阪市街地や京都に行くのはどうしたらよいか」と、泉佐野市に泊まられている方が観光協会へ来られることはあります。ですが、観光客が熊取町そのものを目的として来られることはほとんどありません。大阪市街地や京都へ行った帰りに、「熊取町にはこんなところがあるから寄ってってください」と言えるような実力を持ちたいです。

熊取町は小さい町ながらも煉瓦館や中家といった歴史的建造物、奥山雨山自然公園や永楽ゆめの森公園のような家族で楽しめる場所など、いくつか点在しております。このような点を線にできればと思っていますが、まだまだ実力が伴っておりません。

また、会員さんの後継者問題も大きいです。年を取ると思っている以上に体が動かなくなってくるし、若い人が活躍できるようにしたい。お勤めの人は平日の活動が難しいですが、新しい会員さんを集めつつ今の会員さんを盛り上げたいです。まず会員になってよかったと思ってもらえることをしないといけませんが、そこも難しい。

今はイベントに出ることのお願いに留まっているので、他に何かできないかと考えております。SNSはツイッターとフェイスブックとインスタと全部やっておりますが、観光協会だけの発信になっているのも課題ですね。会員さんが来て情報を流してくれればそれをシェアできますが、そこまでの連携ができておりません。わかりづらいとの声もあったホームページも自分たちで最近ようやく変える事ができましたが、まだ不十分です。

予算に限りもあるため、会員企業や協賛企業から意見をもらい協力して盛り上げたいと考えております。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

現状ではインバウンドもメインが大阪市内や京都市内で、関西国際空港から泉州を通り越して行ってしまいます。これを、熊取町と近隣自治体が一緒になってワンストップにできれば、泉州地域全体の活性化につながります。

会員さんの後継者問題については、やっぱり数が増えてもっといろいろ提案いただければ、その中からもっといい案が出ます。盛り上がってないところには入りにくいですから。良い意見も悪い意見もあると活性化しますし、悪い意見も部分的には取り入れられることもあります。意見がないのが一番残念です。観光協会の会員でも積極的に動いて意見を出すのは2割から3割で、それをどれだけ多くするか。5割ぐらいになればいいですね。

今年から大阪観光大学の学生をインターンで受け入れる取り組みをしており、若者の意見がとても参考になっております。SNSもインスタグラムやTikTokの活用については若者の意見を取り入れてより発信力を高めていきたいです。最近の若者はフェイスブックはほとんどやっていないと聞いています。

イベントはデジタルウォークラリーをやってみたいです。近隣の観光協会さんに教えてもらったもので、最近では泉大津市の事例があります。これまでの食べ歩きイベントは紙のチケットを販売しておりましたが、参加店の集計も事務局の集金も負担になっておりました。

年配の方がついていけるかは心配ですが、町内の方はもちろん、スイーツの町くまとりを知らせるために近隣の人にも来てほしい。若い人が集まるのはこういう施策じゃないかと思いますね。

一今後の目標はなんですか?

3年前まで七夕に煉瓦館(熊取町の観光スポット)で子ども向けのイベントがあり、笹を飾ってマルシェもやっておりましたが、なくなってしまいました。子どもも遊べるような祭りをやりたいです。

大阪観光大学と一緒にやりませんかと話しているが、規模が大きくて町も巻き込まないといけません。すぐに今年来年の話にはならないかもしれませんが、今後もずっと続いていけるようなことをやりたいですね。ひとつ大きなイベント、熊取ならこれというのを残すのは夢です。

それからやっぱり地域活性、大きなことよりもマイクロツーリズム。JR阪和線を使っている人が熊取を認識して遊びに来てくれる町にしたいですね。熊取町の観光地はまだ点々としており、交通の便の問題もあります。年配で車を手放した人や若くて車を持ってない人も多いので、交通機関は重要です。交通の便の問題は大きく先は見えておりませんが、ひとつずつでも解決できればと思っております。

編集後記

ご質問したことにいろいろな角度からお話しくださり、南浦さんの豊富なご経験が浮かび上がってくるようなインタビューでした。記事に書ききれなかった施策もまだまだありまして、長く続いていくことをできたらという熱い想いを感じました。
熊取町だけでなく泉州地域全体を盛り上げていきたいという構想はスケールが大きくてワクワクします。近隣の自治体とイベントを開催したり、好事例を教えてもらったりといった連携が生まれていることは、私たちの活動においても大いに学びになりました。

-コーディネーター紹介-

ID 大阪府熊取町

よねむら けいすけ

米村 啓佑

愛知県東海市出身。
エンジニアリングとコンサルティングを両輪としているところに魅力を感じて旧VSNに入社。サーバーエンジニアとして業務に携わっています。趣味は学生時代に始めたよさこい踊りで、毎年8月に本場高知県に踊りに行くのが楽しみです。