一どんな活動をされていますか?
岡山県津山市を中心に、企業のためのサイト制作や求人メディアの運営、事業継承の支援や、創業者の輩出、プロモーション、小中学生向けのスクールなど多岐に渡ります。
地域の魅力を「見える化」したい、その想いで30歳の時にレプタイル株式会社を作って、今年が11年目になります。
きっかけは10年前。僕は社会人2社目でシステム業界に足を踏み入れて、それから津山市に戻った後、中小企業を中心にパッケージソフトの新規営業をしてたんです。が、「買ってください」では全然売れないんですよね。しかも中小企業だとそういったことを決めるのは経営者なことが多いので、一筋縄ではいかないんです。
なので当時の僕は、まず決裁権を持っている経営者の“お悩み”をひたすら聞くということをやっていました。結果3年間で600社ほどになりました。あの頃は目がキラキラしていて結構社長さんたちに気に入られたので(笑)
すると、社長さんから聞く定番の“お悩み”が、「売上が上がらない」「良い人材がいない」「資金繰り」の3つに共通してくるんです。
で、僕が引っかかったのは「良い人材がいない」という悩みです。なぜかというと、僕の同級生は『地元に戻りたいけど良い仕事がない』って言ってたんですよね。
僕は、営業をする中で地元に面白い会社や仕事が沢山あることに気づいていて、その多くの企業が人材を求めている。それが届けたい人に届いていない。地元に戻らせたいわけではなく、そこにある可能性が見えていないという状況が、悔しかったんですよ。
それを何とかしたくて、人と人や、人と仕事をつなぐためにレプタイルを作りました。
一今やっていることについての課題はなんですか?
課題、難しいですね。徐々に解決していくものなんですが、レプタイルをより社員みんなが活躍できる会社にしたいなとは思いますね。うちってほんとに色んな経験、スキル、気質を持った人がいて、みんな「地域を盛り上げたい」という意思を持って集まってるんです。
だから毎年新しい事業を立ち上げることができたり、地域のためにならないと面白くないよねという軸で判断できたり。そこを加速させて、もっと新しいものが生み出せるような組織にしたいです。マイナス課題ではなく、より良くしたいというプラス課題ですね。
仕事は自分たちで主体的にやった方が楽しいです。うちはみんなが事業主かのように働くというスタイルを大切にしていて、裁量が結構あるので、のびしろがある事業に対してよりアグレッシブに向き合えるようになっています。
例えばスクール事業だと、退会を減らそうとするが同時に入会も減ってたら意味がない。そこに気づいて、じゃあどうしたらいいんだろうとか。そういう「仕事の面白いところ」を感じられることを当たり前にしていきたいなと思いますね。
難しいのは、「丸尾さんだからできる」と思われてしまうこと。「僕だから」ではないと伝えるために、なるべく自分以外の人に積極的に仕事を任せ、役割を与えて、社員だけで完結するようにするとか、成功体験になるものを増やしていっています。コンフォートゾーンから出る機会を作って、あとは任せる。徐々にできることが増えている社員もいるので、そういう人たちを増やしたいですね。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
今うちには色んなバックボーンの人が増えてきて、活気があって、雰囲気もよくて、そして業績も良い。付加価値が出せる場所も増えている。それをより加速させることで、新しい地域事業をどんどん作れるんじゃないかと。そういう会社はずっと元気でいられるんじゃないかと思います。
今もマーケティングやシステムの支援をしていますが、まずはそれを当たり前にしていきたい。こういうことならレプタイルだよねと思ってもらう。
そこから、10年前にはなかったレプタイルという「面白い、変だけど、真面目な会社」があることを多くの人に知ってほしいと思う。そしたら、また新たな地域課題を見つけて、一つ一つ向き合って事業を増やしていけるんじゃないかと。
さらに言うと、色々な分野の人材を増やしたいですね。例えばAIとか、不動産とか、空間デザインとか、今まで挑戦していなかっただけで、事業が広がったり、何かにつながる可能性を秘めてると思うんです。過去にも、旅が好きなエンジニアが入社して、3年かけてゲストハウス事業を作りました。これはその人が入ったから生まれたものなので、そんな可能性を追求したいですね。
一今後の目標はなんですか?
今基盤になっている地域企業の事業支援はもちろん伸ばしていきたいし、レプタイルのような企業がもっと増えるといいなと思います。その地域に住む理由って、「そこでの仕事が面白い」ってことが大きいと思うんです。これは、人がコントロールして生み出せる魅力なんですよね。うちみたいな面白い会社が増えて、地域で暮らすという選択肢を当たり前にしていきたいです。
そしたら関係人口が増えて、街のシャッターが開いて、地域の風景が変わっていく。その核となる存在でいたいですし、元からある企業も何か新しい挑戦をしたくなるかもしれない。それがどんどん循環して、県北地域がもっと「いい感じ」になったらいいなと思う。
例えば創業スクール事業のHomingは、5年間でスクール生77名。そのうち40名が創業または、新事業立ち上げ を実現し今も継続しているという結構話題になっている事業なんですが、これはうちが津山市の産業支援センターに一緒にやりませんかと持ち込んだところから、スタートしたんです。
これからも何かしたいと思ったとき、それは地域課題を見つけた時のはずなので、積極的に行政とも連携して地域をより良くしていきたい。常にそう思っています。
僕は、「限りある時間を幸せに生きられるかどうか」に強い想いがあって、自分だけじゃなくてみなさんに「善く生きて」もらいたいと思ってます。
この地域で良かった、レプタイルがあってよかったと思ってもらいたいんです。
編集後記
数多くの地域支援事業を展開し、面白く、真面目にを追求する丸尾さん。
はじまりは、地元を離れた同級生に対し見えていない可能性を伝えたいという素朴な動機でした。
地域の課題を解決し、そこに眠る可能性をどこまで見せられるか、そして魅せられるか。
まさに同級生に熱く語り掛けているかのように、常に笑顔で明るく、地域の未来とレプタイルについて語る丸尾さんに、私たちインタビュワーも思わず笑顔で聞き入ってしまいました。
またその根底にあるのは、「この地域で良かった、レプタイルがあってよかったと思ってもらいたい」という想い。ごく自然に周りの幸せを願う姿、そのためにできることをひたむきに追求し、わくわく楽しんでいる姿がとても印象的でした。
かく言う私も、丸尾さんからわくわくのおすそ分けをもらい、それがまただれかの何かにつながっていく。思わずそんな暖かい未来を想像したくなります。