町の人に喜ばれることを第一に。

北海道当別町

しもだん さとし

下段 聡

有限会社下段モータース 代表取締役社長
生まれも育ちも当別町で、現在は父親から会社を受け継ぎ、自動車整備会社の代表取締役として経営に携わる。自動車整備だけでなく、ロードサービスやコミュニティバスの運行業務など幅広く手掛ける。自分の利益より町の人が喜ぶことを第一に考え、当別町商工会の副会長としても、地元の商工業を盛り上げている。

一どんな活動をされていますか?

自動車整備会社の代表取締役をしています。また、6年ほど前から当別町商工会の副会長も務めています。当別町商工会は建設、工業、サービス、商業と業種により4つの部会に分かれており、部会長を統括する立場として、会長の補佐や理事との調整役などをやっています。

もともと、会社の創業者である父親が商工会に入っており、その縁で20代後半に商工会の青年部というところに入りました。そこから青年部の会長なども担当し、商工会を通じて様々な経験をさせてもらいました。商工会では祭りの企画などもやっていますが、そういった活動から少しずつ知り合いが増え、異業種の方や上の世代の方とも交流する機会に恵まれました。本業は自動車整備会社の経営ですが、商工会でのいろんな人との交流が良い刺激となっています。また、商工会のような地域の活動に参加することで、少しでも町が良くなって欲しいという思いを持っています。

自動車整備会社の方では整備の他にロードサービスやタクシー事業などもやっていますが、利益ばかりを追い求めるより地元住民の方が喜んでくれることを一番に考えています。その結果として、町も良くなってくれれば良いなという思いです。

一今やっていることについての課題はなんですか?

商工会の一番の課題は、役員などの成り手が少なくなっていることです。若い人は商工会の青年部から理事会に入る流れが多いのですが、まず青年部に入ってくれる人が少ないのが現状です。

若い人が減っているというのは、町全体の課題でもあると思っています。新しいお店が少なくなり、町から賑わいがなくなっているのを寂しく感じますね。ただ、人口減少については最近に限った話ではなく、バブルの終わり頃から人が減り始めたように思います。その頃からスーパーなどのお店が徐々に減っていきました。当時に比べると最近は道路が整備され交通の便は良くなりましたが、その分お店の間隔が空いてしまい活気は減ってしまった気がしています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

子どもや若い人たちが増えてくれば、町に賑わいが出て生活もしやすくなると思います。ただ、人口減少の特効薬はないので、まずは買い物などがしやすく住みやすい町に変わっていく必要があります。その結果、子どもから年配者まで多世代が一緒に過ごせる町になれば良いと思っています。

当別町は札幌からも近く新千歳空港から電車で1.5時間ほどで来られる場所にあるため、実は近くて利便性が高いということをたくさんの人に知ってもらいたいです。当別町にはスキー場もあり近くに海もあるので、そういった点でも人を呼び込む魅力はあると思っています!

実は、自分の会社で当別町のコミュニティバスを運行しており、当別町・スウェーデンヒルズ (※)・北海道医療大学の3者が連携をして運営を一元化しています。このコミュニティバスは地方では珍しく採算が取れている状況で、関東から鉄道会社の方が視察に来られたこともあります。そういった成功事例もあるので、人が減っていったとしても対策を考えて工夫をすることで可能性は広がるのではないかと思っています。

※当別町の一角にある北欧住宅が並ぶエリア

一今後の目標はなんですか?

町全体の目標としては、人が住みやすい町になれば一番良いですね。「住みやすさ」は人それぞれだとは思いますが、いろんな人が住みやすいと思ってくれるような町になるのが理想です。

個人的には、住民が自由に利用できる複合施設などがあれば良いなと思っています。人口減少の中で商店の数自体が増えるのは難しいかもしれないですが、全員が利用できる複合施設という形なら可能性はあるのではないでしょうか。複数のお店をまとめて一つの大きなお店にすればトータルでのコストは低くなるでしょうし、いろんな人が交流できるような場所にもなるのではないかと思います。そのようにして住民同士の交流が増え、町全体が以前のように活気付くと良いですね!

編集後記

今回のインタビューでは、下段さんが普段どれほど当別町とそこに住む人のことを考えているかをお聞きすることが出来ました。「自分の利益よりも、まずは困っている人を助けたい」という一心で会社のお仕事や商工会での活動をされているのだと感じました。また、幼少期から当別町に住まれている方として過去の様子などもお話頂いたことで、自分の当別町に対する認識が以前より鮮明になりました。
「便利にはなったが、子どもと若い人が減り賑わいがなくなってしまった」という他の地域にも共通する課題に対し、今後自分には何が出来るかを改めて考えるきっかけを頂きました。

-コーディネーター紹介-

ID 北海道当別町

ひがし ゆうたろう

東 祐太朗

2017年にAKKODiSコンサルティング(旧VSN)に入社。
SEとしてNWの設計や構築などに従事。2022年からは大阪府で地域活動に携わり、
2023年から「ソーシャル・イノベーション・パートナーズ(SIP)」に参画。
北海道当別町チームとして、町の課題解決や経済振興などを役場や住民の方と共に目指す。