市民同士の「繋がり」を今一度考える

兵庫県川西市

もりき まさひろ

森木 正広

兵庫県川西市出身で現在も在住。 川西市の食品メーカに勤め、営業、開発に携わる。 若い頃に東久代1丁目の消防団に所属しており、自治会の運営に興味を持つ。 2018年から周囲の声かけもあり、東久代1丁目 三葉会の自治会長に就任。 ※自治会長は5年目となりますが、まだまだ多くの課題に取り組まれています。

一どんな活動をされていますか?

川西市東久代1丁目 三葉会の自治会長と久代コミュニティ協議会(※1)の副会長を務めています。

自治会を運営するといっても多岐にわたる活動がありますね。例えば、葬式への参列や秋季の祭事、自治会から川西市に対する要望を行政職員の方々と話し合うことなどかな。このうち、コロナ禍以降、葬式への参列の機会がなくなったことでだいぶ負担が減り、今は自分のやりたいことを出来ている状態です。

その中でも力を入れているのは、70代以上の方々に対してデジタルを取り入れるアプローチや消防団の必要性を行政職員へ訴えること。自分自身新しいことを取り入れるのは好きなので、デジタルを取り入れることで回覧板や災害時の連絡ツールとして利用できればなとアプローチしています。あとはデジタル化することで、若い世代も自治会に参加しやすくなればという思いもありますね。

また、消防団は私自身も所属していましたが、多くの方々とコミュニケーションを取ることができるなど様々なメリットがありました。その中でなぜ消防団が必要かというと、デジタル化を取り入れることの目的と共通している部分もあるのですが、特に災害時に必要になると思っています。

災害時は消防本部のみだとどうしても手が回らない。そのような場合に消防団がいれば消防本部との橋渡しになり、本部との連絡や地域の方々への指示もできるので、消防団の大切さを理解していただきたいところです。欲を言うと若い方々に消防団に入ってもらえればコミュニケーションの機会も増えて自治会の取り組みも理解してもらえるのでいいんですけどね。

※1 コミュニティは、市内の概ね小学区を単位に14あり、地域内の自治会や福祉委員会などが連携しながら地域の課題解決に取組むネットワーク組織です。

一今やっていることについての課題はなんですか?

やはり担い手不足とデジタル化の壁かな。自身が活動していて力を入れていることにもなりますが、どうしても理解を得られないことが多々あるので、どうしようかなと思うところ。

今までデジタル化についてはタブレット活用や回覧板の電子化の提案、QRコードでのアンケートなど様々な方法でアプローチしてきました。しかし、どうしても70代以上の方々は新しいことに対して拒否反応が強く、未だに連絡ツールも有効活用できていない状態なので、歯痒いところです。体感的に積極的な人は10人に1人位の割合なので残念です。

あとはどの自治体でも抱えている問題ですが、若い世代の方々の自治会への参加率の低さ。仕事が忙しいことや自治会に参加することのメリットがないと感じている方が多く、結果として参加していただけない。
なので、どうしても繋がりが薄れていると感じますね。ただ、アンケートを取ると8割ほどの方は自治会に関心があるという話も聞いているので、もう少し地域活動の優先順位を上げてくれると嬉しいです。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

それこそ人と人との繋がりが濃くなっていき、より利便性を感じることで、地域に対する愛着も湧いてくると思いますね。あとは今の小学校や中学校では授業で自治会のことを取り扱うこともあると聞いたので、授業だけではなく、実際に自治会に参加してもらったり、関わってもらう機会を作るのもいいですね。そういったきっかけから今の子供たちの世代にも広がって、興味を持ってくれた子供たちが自治会に参加し、実際に運営するなど行動してくれると親の考えも変わるはず。そうなると、自然と地域の定着率や自治意識も高くなるんじゃないかな。

その中でITを使ってできそうなことはたくさんあると思います。先に述べた回覧板の電子化や災害時に利用する要支援者の名簿など。若い世代の方々は使い慣れているので、SNSなどで情報を収集できますが、高齢者の多い自治会ではアナログなことがまだまだ多く、ITを使えるとは思っているんですけどね。

ただ重ねてになりますが、反発の声があるので、まずはそのような方たちに理解してもらえる取り組みが必要ですね。現状で満足しているのも分かるんですが、もっと便利になることを知っていただきたいです。

一今後の目標はなんですか?

もっと川西市が活発な地域になることです。

担い手不足とデジタル化の壁と2つの課題をあげさせていただきましたが、まだまだ課題はあります。とは言え、私自身幼いころから住み続けていて、住みやすく魅力的な地域でもあります。

自治会長という立場上、行政職員の方々とコミュニケーションを取る中で今まで知らなかったことが知れ、より市と繋がれるようになったとも感じています。自治会長としてまだまだやりたいことがあります。まずは担い手不足から。やはり子供から変化が起きるのが一番分かりやすい。

そのためにも、若い世代の方々に興味を持ってもらうような取り組みを優先的にしていき、人との繋がりを濃くしていきたいです。そういった人との繋がりから一つの方向に向かえばもっと凄い力を発揮できると信じているので、そうなったらいいなと思います。

編集後記

地域愛溢れた活力的な方である印象を受けました。
自治会が抱えている課題、課題に対して取り組んでいること、これから取り組みたいことをざっくばらんに話していただき、インタビュー時間が足りなかった程です。
行政の方も仰っていましたが、率直にここまで自治会のことを考えている方がいることに驚きました。当初は仕方なく自治会長を引き受けたとのことでしたが、今では能動的に行動されており、非常に重要な存在だと感じました。きっかけは何にしろ地域をどうにしかしたいという思いが非常に強い方なので、これからも森木さんと連携を取り、力になれればと思います。

-コーディネーター紹介-

ID 兵庫県川西市

まつばら つかさ

松原 司

2017年に株式会社VSN(現:AKKODiSコンサルティング株式会社)に入社。
ネットワークエンジニアとして通信キャリアや官公庁での要件定義から試験までの工程を担当。
趣味で地方に行く中で、各地域の知られていない魅力に触れ可能性を感じ、本活動に参画。