人との関りを大切に、町に感じる「もったいない」をつなぎ合わせたい

北海道東神楽町

せきや たくと

関矢 拓人

東京都北区出身。体育教師を目指し、都内の大学に通うが、大学在学中に部活として取り組んでいたライフセービングをきっかけに卒業後は海上保安庁に入庁する。海上保安庁には8年在籍したが、うち5年は北海道担当を務めた。旭川出身の奥様の実家があることをきっかけに東神楽町で募集されていた地域おこし協力隊に応募する。現在は1児のパパであり、東神楽町をこよなく愛している。

一どんな活動をされていますか?

東京出身で大学卒業まで都内で育ち、大学卒業後は海上保安庁に入庁しました。海上保安庁に所属していた当時は北海道の担当をしていた期間が長く、年間を通して北海道のほぼ全海域の治安維持を をしていました。そのころ現在の妻と出会い、妻の生まれ故郷の隣町である東神楽町で新たな生活を始めたいと考え、昨年4月から東神楽町の地域おこし協力隊として活動しています。

当時、東神楽町での仕事を探していた時、地域おこし協力隊の募集要項に、「デジタル人財になるための勉強をしながら、子育て世代と学び合う場作りを一緒にしませんか?」というフレーズに惹かれ、地域おこし協力隊に応募しました。私自身、子育て世代でしたし、これまで体力が必要な仕事をこなしていたことから、新たなスキルを身につけたいと思いました。

地域おこし協力隊で、私がメインで力を注いでいる活動が3つあります。一つ目はYouTubeチャンネルを開設して地域の活動や町の人の紹介をすること。二つ目はスマホ相談会を開催し、高齢者の方々がデジタル機器に触れる機会を作ること。そして三つ目は町民相談会を開催し、町民の方が、生活をする中で感じる困りごとを相談してもらう活動をしています。

YouTubeではこれまで、町民の方へのインタビュー動画を数本と、町の消防の水上訓練の紹介動画を配信してきました。YouTubeの町民インタビューでは、スマホ相談会で知り合った方が出演してくれたり、さらに出演いただいた方が別の方を紹介してくれたりしています。消防の訓練動画は、私が海上保安庁の経験があったことから、アドバイザーをしてほしいという要望があったことがきっかけとなっていて、いろいろと数珠繋ぎになっていっていて面白味を感じています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

私が東神楽町に来てまず感じたのは、東神楽の町民の方たちは「自分たちでどうにかしよう」という気持ちが強いということです。放課後の子供の居場所を作ったりするなど、有志の集まりやコミュニティが多く、ボランティアで活動されている方が大半です。

ただ、最初に苦労したのは「どこでだれが何をしようとしているか」の情報をつかむこと。私の場合は、自ら町民の方を尋ねに行き、活動の紹介してもらうところから始めました。この時から現在にかけて感じていることとして、地域の人たちの活動は活発だけれど、それを周囲に知られていない・知らせることができていない。それぞれの団体がそれぞれの活動でとどまってしまっていると思います。同じマインドを持っているもの同士なのに、団体同士がつながりを持てていないことが歯がゆく感じ、非常にもったいないと思っています。そのため、私が団体同士の仲介役を担うことで、横の関係性を気付けるような働きかけをできればなと考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

ITに関してまだまだ勉強中の身ですが、先日、株式会社IRODORIさんの研修を受ける機会がありました。その研修の中でアプリを作成するワークがあり、企画段階での考え方として、より多くの人に手に取ってもらえる、いわゆる「売れるアプリ」を作ろうとするのではなく、「誰か一人のために作るアプリ」を考えることの大切さを学ぶことができました。先ほど話したように、団体同士の横の繋がりを作ることができれば、さらに多くの人が助け合うこともできますし、また新たな活動のイノベーションを起こせる気がしています。日々、町民の方と対話をする中で、研修で学んだマインドを心掛けながら、自分ができることのヒントを見つけていきたいです。

一今後の目標はなんですか?

最終的には、私がいなくなっても団体同士が自分たち同士でコミュニケーションをとり、悩み事や困りごとをお互いで解決していくことが理想の姿だと思っています。
私自身の活動の目標としては、「団体をつなげること」ですが、そこに行きつくまでの過程に私が介入して行けたらといいなと考えています。段階として、次の3段階あると思います。

①団体がお互いに認知すること
②団体同士で会話をすること
③複数の団体で一つの事柄に対して行動すること

この段階の中で、団体同士の活動が継続されるためには、①だけではなく、②③まで行きつくことが重要だと思うので、意識して活動したいです。

また、地域おこし協力隊の任期は最長で3年なので、最近は任期満了後の生活についても思いを巡らせています。家族も東神楽町で生活しており、子供も幼く、妻も私もこの町が気に入っているので、「この町に住んで、この町で働く」ことが私の大きな目標になっています。現在は今回身につけたITの知識を活かしていける道を模索していますが、ベースとしていきたいのは「東神楽町に貢献すること」です。この町で得た事がとても大きいので、恩返しの意味もありますし、なによりこの町が好きです!

編集後記

地域おこし協力隊としてだけではなく、一人の東神楽町の町民としての視点で活動の幅を広げている関矢さん。我々SIPメンバーにも分け隔てなく接してくださり、人との壁を作らない方だと感じました。また、地域おこし協力隊としての活動を終えた後のことも考えを巡らせていて、現在は知識をつける時期という気持ちで、幅広くアンテナを貼張ってらっしゃるところが印象的でした。
私自身、関矢さんのInstagramやYouTube活動を通して東神楽町の様子を知ることができ、東神楽町を身近に感じることができています。関矢さんの活動が、さらに多くの方を巻き込んでいくことを楽しみにしています。

-コーディネーター紹介-

ID 北海道東神楽町

すがわら あんな

菅原 杏奈

神奈川県横浜市出身。
2018年10月にAKKODiSコンサルティング株式会社(当時VSN)にメカエンジニアとして中途入社。
これまで自動車の内装やホバーバイクの設計、防衛器材の整備サポート業務など幅広い製品に関わりながら機械設計技術を学ぶ。旭川市にゆかりがあり、業務として関ってみたい・貢献したいという思いから、Social Innovation Partnersの活動拠点として立候補した。趣味は登山や旅行で、雪遊びも大好き。