町役場に足を運ぶすべての方々の声が拾える未来を

茨城県利根町

ながた かつとし

永田 勝利

利根町出身。大学卒業後、利根町役場に就職。現在は利根町役場福祉課課長補佐として福祉課を率いている。福祉課の経験が豊富で、過疎地域自立促進計画、総合振興計画、まちひとしごと創生総合戦略等、町の重要施策の立案に従事。

一どんな活動をされていますか?

利根町役場の福祉課課長補佐として社会福祉係、障害福祉係、高齢介護係、介護予防係の4つの係の総括を行っています。また、社会福祉係の係長も兼務しているため、生活困窮者の相談などの担当業務も行っています。

仕事が無くなって困窮してしまい、働きたくても働けない方々の相談を聞き、どういう対応が出来るのか、どういう支援が出来るのかを考え、その方のニーズに応じた支援プログラムの提供を行っています。特にコロナの時期は相談に来る方が増えました。電話でも窓口でも相談に来る方の話を聞いて、聞いた内容を纏めて各種申請の手続きを行うこともあります。窓口対応は内容によってかかる時間の差は大きいですが、2時間ほどかかる場合もあります。

福祉課への相談は、生活困窮者の相談ということもあり、時間が大きく割かれることから、資料作成などの事務作業は夜になってしまうことが多いです。

一今やっていることについての課題はなんですか?

メールの受付作業で、若手社員がすごく時間を取られていることは課題だと思っています。

各係にメールを分配するため、若手社員が朝に全てのメールのチェックを行い、印刷しています。福祉課に届くメールの量が大変多いため、この作業に半日くらいかかることがあります。その作業の時間が多く取られるために、朝早くから来ている社員もいます。

メールをPDFファイル等にしてどこかに格納するようにしておければ良いのですが、現状はそうなっていない状況です。印刷されたものは、全てフォルダに入れて保管し、要らなくなれば捨てる形になっています。メールサーバーも容量が限られているため、そのような運用を取らざるを得ない状態です。

対応しているのが若手社員ということもあり、メール内容を見て対応が必要なものなのかそうでないのかをすぐに判断することが難しく、メールの全量を受付処理することになっているのも時間がかかっている要因の1つかなと思います。

また、避難行動情報の処理も効率が悪いと思っています。民生委員の方が高齢者や障がい者の災害時の避難行動情報を紙で作成し、それらをすべて福祉課で手入力しています。この情報の入力に多くの時間がかかっているのも課題の1つだと思います。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

各種申請処理も電子化が進んではいますが、町民の方々に高齢者が多いこともあり、まだまだ窓口で申請するケースが多く、電子化を活かしきれていないです。電子化出来るということを知らない人も多くいらっしゃいます。普及方法について、ITを通して少しでも改善が図れると、上手く活用できるのかなと思います。

ただ、福祉課の窓口業務は相談に来られた方々の「話を聞くこと」が重要ですので、AIを使うなどは難しく、IT化することでの効率化は難しいと思います。そのため、窓口業務以外の業務効率化を行うことが現実的だと思っています。

メールの受付処理の時間を削減出来れば、事務処理に充てられる時間も多くなるので、残業も減らせると思います。避難行動情報の処理においても、文字スキャン等のIT技術を用いて業務の効率化が出来れば良いなと思います。

福祉課は他の課に比べて、担当業務が多岐にわたることから、業務知識を広く浅く持たないといけないです。そのため、効率化出来る部分は効率化を図って、自分の仕事に集中できるようにしたいです。

一今後の目標はなんですか?

町全体を考えれば、若い世代の方々が増えて欲しいとか思う部分はありますが、中々現実的に難しいのかなと思っています。どこの市町村も、来てもらうための多くの取り組みを行っていますし、その中で利根町だけが飛びぬけてというのは考えにくいのかなと思っています。

なので今は、町役場に足を運んでくださったが、担当者が居ないから帰すということがあるので、そういった方々を減らしていきたいです。そのためには、マニュアルを作成する等して、担当者以外であっても、窓口対応が出来るようになっていけたらと思っています。そういった、町役場全体での窓口業務の改善を図っていきたいです。自分の担当業務以外のことを対応出来るようにというのは、割く時間も今は無い状態ですし、対応リスクもあるので、ハードルが高いですが、実現出来ればいいなと思っています。

編集後記

永田さんはご多忙な中にもかかわらず、終始笑顔で私たちのインタビューに応じてくださいました。永田さんの発言から、利根町の町民、役場職員の方々を思う姿勢に満ちていることが強く感じられました。
また、永田さんは役場に訪れる1人1人に寄り添って話を聞くことを非常に重要視しており、その献身的な姿勢は非常に印象的で、深い感銘を受けました。

SIPの活動を通じて、町役場の業務削減に貢献し、町役場を訪れる全ての方々に適切なサポートを提供できるよう尽力していきたいと思います。

-コーディネーター紹介-

ID 茨城県利根町

Oya Arisa

大谷 安梨沙

2014年 ソフトウェアハウスに入社。大小さまざまなシステム開発を経験
2022年 Modis(現AKKODiS)に入社。複数案件のプロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーを遂行
地方出身であることから、「自身の経験を活かし地域貢献に携わりたい」という思いで本活動に参画