窓口業務の電子化で住民も職員も快適でハッピーに!!

茨城県利根町

くめはら りょうへい

粂原 亮平

利根町役場に勤める前は、自動車関連の会社にて営業職を経験。 利根町役場は6年目で、初めの2年は生涯学習課として運動会の運営などの町のイベント等に携わった。その後、保険年金課に移動し住民の方々の安心と健康のために業務の電子化や効率化等に取り組まれている。

一どんな活動をされていますか?

利根町役場の保険年金課 国民健康保険係として、住民の方々の健康と安心のために、国民健康保険への加入手続きや健康保険加入に関する情報発信・啓蒙活動等をしています。また、利根町には多くの留学生が暮らしているおり、毎年100人を超える留学生が保険加入手続きを行います。そのため多い時には一度に数十人分の書類を一度に作成するということもあり、これらの業務を電子化することで業務を効率化できたらと考えています。

加えて、利根町に在住の多くの方が高齢者という事もあり、予防事業として外部の専門家(管理栄養士)による糖尿病性腎臓病重症化予防事業や生活習慣病重症化予防の個別指導を実施しています。その他にも、住民の方々と病院とをつなぐ健康診断の受付・予約も担当しています。しかしながら、これらの事業にご参加いただけない住民の方々も多くおられるので、そのような方たちへ向けた広報や啓蒙活動にも力を入れて取り組みたいと考えています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

まず一番の課題としてはやはり窓口業務がとにかく多いことだと思います。健康保険はすべての人が加入しなければならず、個人として正しく登録する必要があるため申請手続きも複雑です。更には、留学生の方々への対応には言語の壁もあります。そのほかに保険の切り替えによる脱退手続きや、給付に係る申請受付、健康診断・人間ドックの受付などを行います。それらの業務を一つの窓口で担当するため一人当たりの業務量はかなり多いです。

またコロナ禍を受けて、役場として健康診断予約をWebから申請できるようにしたりもしましたが、それを利用して予約されている方は申込者の全体の20%程度であり、十分に普及していないというのが現状です。Web予約の存在を知ってもらえていない、あるいは知っていても使ってもらえていないという事が課題であると感じています。

加えて、各種申請を電子化するにあたり、役場のホームページ内にある階層やページ、申請フォームが複雑に配置されており、住民の方々にとっては使いづらいのではないかという意見もあり、利用する方々にとって使いやすいホームページ作りも必要だと思っています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

実際にすべての申請手続きがオンラインで可能になれば、住民の方々は申請のためにわざわざ役場へ足を運ぶ必要がなくなります。更には、24時間いつでもどこからでも申請手続きが可能になることで、必要書類を忘れることや記入情報の誤りによる再手続きということも減らすことができると考えています。

また、留学生の方々の手続きの様に一度に大量の受付をする際でも、窓口であれば職員が記入情報を一つ一つ改めてシステム等に打ち込みますが、オンラインで申請されることでその必要がなくなり、役場職員に時間的余裕が生まれてヒューマンエラーを減らすことができると考えています。そして申請者の方の、職員が作業をする間の待ち時間をなくすことに繋がります。

更に、住民の方々の必要情報があらかじめ登録されているデータベースを作ることで、マイナンバーから必要情報を自動で入力するようなシステムも実現できるのではないかと思っています。実現した暁には、職員の業務を大幅に減らすことができ、効率化によって生まれた時間を予防事業や電子申請の広報や啓蒙活動に充てることができます。それにより、住民の方々に便利なシステムを有効活用してもらえるようになるのではないかと思っています。

これらを達成するために、職員自身もITを活用するためにリテラシー向上に取り組み、住民の方々が便利なシステムを使えるようになるためのサポートができるようになること不可欠であると考えています。

一今後の目標はなんですか?

もちろん、最終的にはすべての手続きを電子化していくことが目標です。しかし、実際問題として住民の方々が利用するハードルは高く、我々自身にも準備が必要であるため実現はすぐには叶わないとも感じています。

それでもまずはできることからしっかりと、職員自身のITリテラシー向上によって通常業務を少しでも効率化していくことや、住民の方々に対する既存のWeb申請制度の普及などに取り組んでいけたらと思っています。具体的には、職員一人一人がよりシステムなどのツールを使いこなせるようになるために講習を開催することだと考えています。理想としては保険年金課だけでなく、全庁的にe-learning等を活用して実現できたら嬉しいです。

また、高齢の住民の方向けにスマホ講座を開くなど、現状ITに対してあまり馴染みがない方々を掬い上げていくことで、一緒に「より便利で」「快適で」「ハッピーな」 町を築いていきたいと思います。

編集後記

粂原さんとはフィールドワーク以前より「保険年金課の窓口業務の電子化」について度々会話をさせていただいていました。利根町職員の中でも特にIT化、効率化の意識が高い方だと感じています。おかげ様で、SIPメンバーとしてもいろいろなアイデアを提案させていただいたり、課題について議論させていただいたりしやすい雰囲気で会話でき、大変助かっています。
IT化や業務効率化をはじめとし、よりよい町づくりに対するモチベーションが高い粂原さんと一緒に課題解決に取り組めることを幸運に思いながらも、粂原さんの理想を一緒に実現していけるよう邁進していきたいと思います。

-コーディネーター紹介-

ID 茨城県利根町

たかはし けいご

高橋 圭吾

利根町と同じ、茨城県の出身。
2022年にModis(現AKKODiS)に入社し、ネットワーク分野のエンジニアとして就業中。
子供のころから「田舎だなあ」と思っていた茨城を、自分の得意であるITを利用し、推進していくことで少しでも盛り上げられたらと思いSIPプログラムに参加。