ICTを使った学びの未来を感じたいあなたへ

茨城県利根町

なるしま ひとみ

成島 仁美

茨城県取手市出身。趣味は旅行や動物園に行くこと。 利根町役場に入庁後、保険年金課、企画財政課、企画課(現:政策企画課)を経て、現在は学校教育課の業務に従事。子供たちに質の良い教育を提供するため、現在はタブレットをはじめとしたICT機器の活用の促進に日々取り組んでいる。

一どんな活動をされていますか?

利根町役場の学校教育課 学務係で勤務しています。これまで配属されたことのある保険年金課や政策企画課では住民の方と触れ合える機会が多かったのですが、今は学校とのやり取りが多く窓口業務はほとんどなく、住民の方と対話できないことをたまに寂しく思っています。

学校教育課での主な活動は、就学のための保護者への援助や、学校のICT関係の整備を行っています。ICT機器を整備することによって、幅広い授業が展開できるようになりました。現在、利根町には小学校が1校、中学校が1校あります。令和二年度にこの2校の児童生徒約800人一人ひとりに授業で使用するタブレット(Chromebook)を貸与しました。このタブレットを活用することが「考えることが楽しいと感じることができる」「積極的に授業に取り組める」など、子供たちの学習意欲が向上するきっかけになってほしいと願っています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

タブレットの貸与や電子黒板の導入など、学校で使用するICTの設備は整えましたが、それだけでICT教育が進むとは考えていません。現在の状況としても、毎日の授業でどの程度タブレットを活用しているのか全てを把握できないですし、先生たちにICT機器を活用した授業の研修を行っても、皆がすぐにそれらを取り入れて授業をできるようになるわけでもありません。黒板やプリントを活用して授業を行うことに慣れている先生にとっては従来のやり方を大きく変えることになるので、そこに難しさがあるのだろうと感じています。

また、新しくプログラミングについての授業を取り入れたのですが、これも学年によっての難易度や最終的にどのくらいできるようになることを目指すのか、そこに向けてどのように授業を進めていくのがいいのか、試行錯誤しています。

ICT教育やプログラミングの授業に限ったことではないですが、子供たちへの教育の質を上げるためにも、今後は私たちや先生たちの知識やスキルを上げていく必要があると考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

色々なことが大きく変わっていくと思います。児童生徒だけではなく先生にも変化が起きると考えています。町全体としても、教育のレベルが上がることや特色のある授業ができるようになると、その授業を受けさせたいと考えるご家族の移住や定住のきっかけになるのでは思っています。

学校で子供たちがわからないことや調べたいことがあった場合、今までのように先生に聞くだけでなく、インターネットを使って自分で答えを見つけ出せるようになります。答えにたどり着くまでの過程でいくつもの情報に触れることで、単一の考え方ではなく多様な考え方や意見を持てるようになると思っています。調べている途中に新たに興味を持つことが見つかれば更にそれを調べる、というように子供たちの発想や想像力が膨らむことを期待しています。

タブレットを活用した授業では、情報を共有することで先生が子供たちの学習の進め方や思考の過程を把握できるのではないかと思っています。子供たちも周りの考え方を見ることができるようになるので、周りとの意見交換が活発になることを期待しています。

また、オンラインでは利根町に住んでいながら他地域の学校や企業、遠方の方々と交流することができるようになります。これは地域による教育機会の格差問題の観点からも重要な事だと考えています。利根町は英語教育に力を入れており、国の教育課程特例校に指定されています。この活用を広げていくことで世界中の人たちとコミュニケーションを取る機会を提供できたらと考えています。

プログラミングの授業についても、プログラミング思考を養うだけでなく、インターネット上に自分たちでプログラムを作成し、ゲームやアプリを実際に動かしてみることができます。

これからの社会では情報活用能力が必要不可欠なので、授業でICT機器を活用することで能力を高めていってもらえたら嬉しいです。

一今後の目標はなんですか?

これから利根町としてどのような方針で学校教育を進めていくのか、指導課と相談しながら進めていきたいと考えています。大切なのは、子供たちにより良い内容の授業を提供できるようにすることです。

普段の生活の中でも、スマートフォンをはじめとした様々な場面でICT化が進んでいると感じています。情報化社会に対応する力を身に付けてもらうためにも、更にICT教育に力を入れていきたいです。そのために、自分たちも学習していく意識を持ち、わからないことはICT支援員の方と協力し、子供たちにわかりやすく教えていけるようにすることが大事だと考えています。

社会に出たときに必要なExcelやPowerPointの使い方を覚えてもらうことはもちろん、ICTの活用方法やプログラミングに関することも一緒に学んでいけたらいいなと思っています。

編集後記

今回のインタビュー中、どの質問に答えていただいた時も、「住民の方の役に立ちたい」「子供たちのために何かできることは無いか」、そういった思いを言葉の端々から感じ、成島さんの熱い思いに触れることができたように感じました。
個人的にも、児童生徒さんの教育の質を上げるためにタブレットを活用したICT教育の充実は必須だと考えています。我々の知識や経験が教育分野でどこまで力になれるかは未知数ではありますが、SIPの活動を通じて先生や児童生徒へ伝えることで、ICT教育の一助になれたらと思っています。

-コーディネーター紹介-

ID 茨城県利根町

やまうち ちはる

山内 千春

千葉県君津市出身。
2007年に株式会社VSN(現AKKODiSコンサルティング株式会社)に入社。化学系やデータサイエンス分野のエンジニアとして業務に従事。
2023年5月から千葉県多古町の地域活性化起業人として活動中。今後、行政の方と関わっていく上で、他の自治体の方の考え方にも触れてみたいと思い、今回のSIPの活動に参加。