デジタル化に皆を導く、広守備範囲の頼れる先生

福島県矢祭町

さとう ゆたか

佐藤 裕

矢祭町出身。高校の時に、叔父にマイコンを借り、コンピューターの面白さに目覚める。大学の教育学部卒業後、教員となる。五年ほど教鞭をとり、地元へ戻る。介護保険施設の起ち上げに伴い介護保険請求のPC環境を整備したり、県の受託事業で矢祭町と鮫川村をネットで繋いで遠隔授業を行った際、3年間サポートを行う。現在は、矢祭町学習支援員となり、学校での支援の他、子どもICTアドバイザープロジェクトにも携わる。平成16年からは家業の神主として奉職するなど、マルチに活躍をしている。

一どんな活動をされていますか?

現在は、小学校のコンピューターの学習支援を行っています。小学校1・2年生には本当に基本的な内容、3年生にはキーボードを触らせていって、4年生からスクラッチを使って、プログラミングを教えています。そして、小学校・中学校に、SNSを正しく扱えるよう情報モラル教育も行っています。また、パソコンやネットワークのメンテナンス対応等も行っています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

タブレット時代になって、ローマ字をなかなか覚えられない子どもが増えてきました。マウスをちゃんと使えない子も多いです。今のままタブレットだけで小中学校時代を過ごすと、高校に行ってから結構大変なのではないかと思います。

例えばフリック入力に慣れているので、「じ」を入力するために「ZI」と打たずに、「し」と打ってから、点々ってどうやって打つんですか、って聞いてくる中学生もいます。 キーボードを使えば多少はローマ字を覚えなきゃと思うのでしょうが、このままタブレットだけになってくるとしたら、ローマ字を自由に使える子は相当少なくなるのではないかと思います。中学生でも目を離すと、ちゃっかり50音キーボードで打ってたりしてるのが現状です。

また、矢祭町は全体的にITリテラシーの高い人は少ないと思います。趣味でパソコンを作るレベルの人はそれなりにいるようですが、些細なことで困っている人は意外と多いかと。 いわゆるデジタル人材って言われる人がもうちょっと居てくれると多分色々楽しくなるんだろうなと思います。

今の矢祭町には該当しませんが、少人数の学級だと一人算数のできる子がいると、その子の考えがすべてになってしまうという問題があります。他の子もそうじゃないって言い出せず、競争も起こらず、あの子が言ってるのなら間違いえない、となってしまう。でも、そのちっちゃい学級を大きい学校の普通の人数の学級とTV会議システムで繋いで授業をする事で解決出来たりもします。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

中学校で、特設デジタル部というができて、そこで子どもICTアドバイザーの育成のお手伝いもしています。今年は12人も加入したので、この子たちが少しでも地元に残ってくれて、デジタル人材として色んなお手伝いを出来る感じになってくれると良いなと思います。

学校の出欠連絡をデジタル化したら、使う側(保護者)も使ってもらう側(学校側)側も負担が少なくて、これは便利だとすぐ広まったように、デジタル化することでいかに色々なことが便利になり楽が出来るかというのを広めていきたいです。

現状、矢祭町には新任の先生が赴任されることが多いですが、この町に来ればデジタルリテラシーを上げられる、というようにしたい。そして、ここで覚えたことを、他の地域に行って広めて欲しい。そうすれば地域全体の、底上げが図れると思います。

一今後の目標はなんですか?

常に変わっていくテクノロジー・常識に対応できる人材を育てなければならないなと、自分を含めて思いましたね。十年前の常識は今の非常識ですから。

矢祭に来れば、先生たちもデジタルリテラシーを上げられるというメリットを作りたい。まだまだデジタルの壁が有る自治体も多いので、矢祭から県南に、モデルになるような事を発信していきたい。

編集後記

予定時間オーバーの、熱の入った取材となりました。先んじてデジタル化を進めている矢祭町は、子どもICTアドバイザーの設立、新任の先生のデジタルリテラシーを上げ、異動した後に広めてもらうなど、具体的現実的な手を打っていて、どう進むんだろう、どう変わっていくのだろうと、非常にわくわくします。
全力でサポートしていきたいです!

-コーディネーター紹介-

ID 福島県矢祭町

むとう ゆうじ

武藤 裕司

栃木県那須塩原市出身。
大学卒業後、コンピューターを軸として、様々な業界と関わってきました。
2023年AKKODiSコンサルティング入社、今年初めてSIP活動に関わります。
皆で楽しい未来に向かっていきたいです。