一どんな活動をされていますか?
フィットネスやジムということではなく、ライフスタイルの一つとして、津山の自然豊かな立地を生かした空間づくりに力を入れています。良い意味で、オフになれる空間づくりの一環としてカフェを取り入れています。あくまでも、専門がスポーツや運動指導になりますが、普通では考えられないようなサービスの提供を目指して活動をしています。
今までの経歴としては、スポーツ系の専門学校でトレーナーの勉強をした後、メディカルフィットネス(病院が運営するフィットネスクラブ)で業務をしていましたが、怪我をした後のケアでは遅すぎるなと、もっと前の段階で運動に関する取り組みをしなければと思い、子供にフォーカスをあてたダンススタジオを始めようと思いました。
元々、地元には戻るつもりだったので、ヨガのインストラクターであり管理栄養士でもある姉と当時スポーツリズムトレーニングを開発した義兄の3人で、2010年から津山市の沼で教室をスタートしています。
2014年位に、今の京町という中心市街地になるんですけど、そこの空き倉庫をリノベーションして、健康まちなか健康サポート施設という施設を作ろうということで小須田さん(津山市市役所職員)に協力いただきながら、事業をスタートさせました。子供たちや高齢者の運動をサポートしていて、今いる方だと5歳から94歳まで幅広い人たちのサポートをしながら10年間活動してきました。
昨年からは、Globe Sports Dome※1の運営も手がけるようになりました。
※1 津山市が管理していた旧クラブハウスから、運営権を取得し、スポーツリズムトレーニング(リズムジャンプ)を導入した総合的なスポーツ及び健康増進施設
一今やっていることについての課題はなんですか?
時間の使い方ですかね。10年前に事業を始めた時と今の状況を比べると、色々なジムが出来てきて、津山における我々の業界は大きく環境が変わってきています。
振り返ってみると、我々の活動というのは、10年先を進んでいたことに気づきました。創業10年という節目もありますが、今ここで立ち止まって次の10年を見据えておかないと、我々の業界は特にそうですが、このままだと津山が良くはならないと感じています。変えるなら今だなと。
僕自身、自分の好きなことをやっているので、忙しいとは感じてはないです。ですが、先に述べたように、時間の使い方とか捉え方、価値観というのを考えなければならない時期だとは思っていますし、家族である従業員や関係する皆さんにも、変えてもらえるきっかけというのを作れたらと考えています。
この考えの背景には、人に対して、決められたことだけを実行していくのではなく、知らない世界を見てもらいたい、経験してもらいたいということにあります。弊社・当施設を通じて、体験したことのないことを感じてもらって、五感をもっと敏感にしていってもらいたいと思っています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
時間がない中でいかに効率良くやるか、大変と捉えるのではなく、イベントとして取り組む意識があれば楽しくなると考えています。マイナスなところからプラスに変えていくということが楽しさの基準になっています。特別なことだけがイベントではなく、毎日がイベントだと思って活動しています。また、整備されていない物事に対して、自分1人でやりきってしまうのではなく、周りの人間と経験を共有できればと考えています。
効率化を目指すのであれば、 ITを使えば簡単だとは思います。
例えば、フィットネスに関しても、
「どれ位トレーニングすればいいですか?」
「食事の量はどの位にすればいいですか?」など、質問はたくさんきます。
技術が進歩しているので、AIを使えば簡単に答えてくれると思います。
ですが、人それぞれ、トレーニング方法や食事の摂取量も違うので、一人一人に向き合って、気づきを与えることが大事だと考えています。ITを完全に否定しているわけではなく、バランスが大事だと考えています。
先日坐禅を組んだ時の話になるんですが、現代人は、物事を効率化して、10かかっていたものを8にして余った2を別のことに割り当てようとします。さらに、その2に対しても効率化をして、凝縮させるということを繰り返していきます。そうやって詰め込み過ぎていくと、脳か心がダメになる。自分のキャパシティーは自分で決めていくものです。10年間事業をしてきて、効率化して余った2を何もしないくても良いんだ、と考えられるようなってきました。
一今後の個人的な目標はなんですか?
目標と言われると難しいですが、今年実現したいことはあります。それは、弟子を入れることです。
これまでの10年間、従業員を増やしてきましたが、時間が足りず自分の考え等を共有することが出来ませんでした。通常業務では、オンの時の自分の感じていることや考えしか伝えられませんが、自分自身の人間性というのは、オフの時にしか感じとれなかったりするわけです。むしろ、何かを成す過程では、オンオフ両方の感性を近くで感じ取ってもらわないとわからないと思います。長期的に考えた時、津山にいい人材を残すためには、先に述べた過程の部分を感じ取ってもらうことが重要だと考えています。
20代の少しイキった若者の指導、養成に生きがいを感じているので、弟子を入れて実現していきたいですね。弟子に求めることは全てにおいて、「アナログ」になること。便利、効率にとらわれて、早くできることが本当に幸せなのか。たとえ遅くても、どう取り組んでいくかを考えることが、最終的に便利な脳になるかもしれない、ということを若い方に知ってほしいです。
便利に慣れることで、自分の脳と身体が不便になってきているのではないか。芝生を走った方がいいし、川で遊んだ方がいい。そうゆうことを感じ取って、人に伝えていけるような弟子を養成していきたいです。一般的に、困難なことが完了したら、達成感を感じたり、動画などをSNSにアップして共感を求めたりするじゃないですか。私は、そのSNSの活動の時間がもったいないと感じています。
なので、ITを使ってではないが、「弟子タル(弟子+デジタル)」を使って、その部分を伝えていきたいと考えています。
近い将来実現したいことは、自分が見てきた景色を「弟子タル」を通じて広めていくことです。
編集後記
インタビューを通じて、関元様の津山や人に対する熱い思いが伝わってきました。
生い立ちから事業をスタートさせた時の話、現在に至るまで、人に支えられ、人の期待に応えたいという関元様の言葉。
家族という考えも、地域に根ざしているからこそ生まれる考えだと感じました。
他にはない、フィットネスの形を体現する関元様の行動には心が動かされるような感覚を覚えました。
インタビューの中にもありましたが、普通では考えつかないようなこと、関元様の発想や考えに触れることができ貴重な時間を過ごすことが出来ました。