定年後カフェ事業を始めたのは、人との交流を楽しむため

群馬県嬬恋村

ふじもと ようこ / ふじもと たかし

藤本 陽子 / 藤本 卓

藤本 陽子さん(Piggies代表)
埼玉県浦和市出身
東京にて長年事務職に携わる。焼菓子作りが趣味で、その趣味がこうじて現在はカフェのキッチン、ベーカリーを担当している。

藤本 卓さん(ドリンク、車両、設備担当)
福岡県北九州市出身
福岡県にて腕時計の修理や部品管理、その後システム開発や生命保険会社に勤務と様々な業種を経験。 定年後に嬬恋村へ移住。現在はカフェでドリンクの提供、オーダーメイドでDIY事業を受けている。工房内の棚やカフェの家具、キッチンカーの内装等も手掛けている

一どんな活動をされていますか?

現在、カフェ、ベーカリー、オーダーメイドDIY、コワーキングスペース、ケータリング、フードトラックの6つの事業を行っています。
カフェ事業を始めたきっかけは、定年後、社会との接点を求めてカミさんの趣味のひとつである焼菓子作りを活かしたことを始めようと思い至ったことです。ベーカリー事業ではパンや焼菓子を製造し、店頭販売や通販を行っています。ベーカリーを始めたきっかけもカフェと同じです。

オーダーメイドDIY事業を始めたきっかけですが、来店した方がカフェ内の家具を気に入ってくださり、そこから個々のご希望に沿った家具をお作りするということに繋がりました。フードトラックの厨房やカフェ内のカウンターやテーブル等、殆ど自作しています。

コワーキングスペースに着目したのは、コロナ禍に入って以降、カフェでのリモートワーク需要が伸びた為、専用のスペースを設けることで、カフェで食事を楽しみたい方と、仕事や勉強をする方、両方のニーズを満たすためです。一日プランで利用される方が多いです。

ケータリング事業を始めたこともコロナ禍がきっかけです。しかし、始めてみたところ嬬恋村地域ではランチのお弁当配達はニーズがないことが判明し、失敗してしまいました。とはいえそのノウハウを活かすことでウインタースポーツ競技会場へのお弁当配達等、フードトラック事業がより充実しました。

フードトラック事業は有難いことに順調で、方々でお声がけいただき、出店しています。冬はスケートリンクに出店しているのですが、そこでは温かいお弁当の需要が高いことがわかりました。他にもお弁当配達は来ているものの、冷凍したものを温めているだけであったり、その解凍も不十分で、私たちが提供する温かいお弁当が人気だったのです。
そのため、今年(2023年)の冬からは温蔵庫を導入し、より数多くのお弁当を届ける予定です。この活動が、嬬恋村の課題である冬の雇用創出にも繋がるのではないかと考えています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

カフェ事業が繁忙の為、オーダーメイドDIY事業、ベーカリー事業に手が回らないことです。従業員の方だけにお任せすることが難しいということもありますが、そもそもカフェ事業を始めた目的が社会との接点作りなので、DIYをやっていたいと思っても、そちらにかかりきりになるわけにもいきません。

フードトラック事業では、費用面で悩んでいることがあります。というのも、急速冷凍機を導入したいと考えているからです。もし導入出来た場合は、賞味期限の問題や風味の劣化に対する改善、人手不足の解消が見込まれます。ただどうしても費用がかかりますので、そこがネックになっています。

我々の課題とは別に、嬬恋村の課題として感じているのは路面状態です。農道に比べ、あちこちで舗装が劣化している観光道路が目立ちます。村内の道路は信号が少なく、カーブやアップダウンが多い為、自然の絶景の中でツーリングを楽しむ人たちにとっては魅力大なのですが、路面状態が課題になっています。

また、嬬恋村には鬼押出し園という観光名所があります。そこでは車のイベントが毎月あり、盛り上がりをみせています。そこに参加した人たちがイベントだけで完結することなく、もっと嬬恋村の道路や自然環境を楽しんでくれたらと考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

課題に直面する都度、それをどう解決していくかを考えています。その結果現在の6つの事業が生まれました。一方、嬬恋村には「あるものを受け入れる、現状に疑問を持たない、新しいことに挑戦しない」風潮があると思います。いつまでも同じことを続けていけばいい、といった安心感です。

そもそも、子供だけではなく大人にとっても学ぶ場が少ない。ビジネススキル、経営を学ぶ為の場がありません。ITを利用することで、そういった学びの場が増えるのではと考えております。

一今後の目標はなんですか?

嬬恋村は火山こそありますが、温暖化による過度な高温、地震、津波被害の心配は低いと感じており、移住を決めた理由の一つでもあります。フードトラックも万が一が起きた際にはこの中で生活が出来るように設計しています。これからも皆が元気で過ごせる場所を作り続けながら、現在手掛けている6つの事業を充実させていきたいです。

編集後記

実際にお伺いするまで、多くの事業を手掛けていることに対してチャレンジしている姿が素敵だなと漠然と考えていたのですが、実際にお話を伺い、課題解決を何度も重ねて今に至っていることや、自身だけではなく周りの方、地域に向ける想いの深さに感銘を受けました。
地域の課題解決を目指す我々にとって、学ぶことの多いお時間を頂けました。
個人的にもまたケーキを注文させていただく予定でして、今から楽しみにしております。

-コーディネーター紹介-

ID 群馬県嬬恋村

まの えりな

真野 絵理菜

神奈川県横浜市出身。
2022年にAKKODiSコンサルティング株式会社(旧Modis)入社。
入社前は5年、ITの運用・保守業務に従事。
それ以前はコールセンター、接客業に携わる中で新人研修、セミナーを開催。
現在は未経験者向けにネットワークの研修を実施。
2023年より地域の課題解決PJに参画し、地域の方により沿った、地域の方にとって明るい未来になるように一緒に課題解決していきたいと活動に取り組んでいます。