一どんな活動をされていますか?
飲食店に従事していた経験から自らも飲食店を開きたいと思い、津山市の中心市街地空き店舗対策補助金制度を活用し 2016年に商店街に鉄板食堂のお店をオープンしました。
最初の3年間は、自分のお店を日々切り盛りすることに追われて、商店街(組合)での活動に積極的に関わることが出来ていなかったですが、地域のお祭りや鶴山公園の桜祭り、もみじ祭りなどには参加していました。4年目以降は、商店街の活動に携わる機会が増えてきて、今まで関わりの薄かった商店街を営んできた先輩方の苦労を実感し、尊敬の念を覚えました。
商店街との接点も増えたことで、4年前から地ビール祭りの開催にも携わっています。商店街の事業部の方々が特に銘柄にこだわりなく用意していたものを、地ビールが好きな仲間を集めてこだわりを散りばめて開催したところ、今年は初日に1500人程集まって、物凄い活気でした。
コロナ禍では、津山市で開催されたB級グルメの大会に出場し、「パンダのメンチ」と命名されたメンチカツを考案して準優勝したり、商店街の同業者と協力してお弁当を出したりしました。現在は、自然と商店街の若手をまとめるリーダーのような役割を任されていて、これからの世代の為にも商店街を盛り上げていかなくてはと思っています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
商店街で商売をしている人が中々定着しないことですかね。商売をやっている人が必ずしも地元の人とは限らず、家賃を払って商売している人もたくさんいます。商店街も徐々に若手が参入してきて活気づいてきてはいるものの、商売が上手くいってある程度売り上げが伸びたり、逆に上手くいかなかった場合も、いずれにしても別の地に出てお店を構えることが多いです。
商店街側が必ずしも物件を所有しているわけではないので、今ある物件を自由にリフォームして使いやすい広さや設備を整えることができていないという制度面での問題もありますが、自分のようにこの商店街でずっとやっていきたいという気持ちが醸成される商店街にしなくてはいけないと考えています。
また、これから参入してくる人達を商店街の皆でサポートできるようにして、若者の意見がもっと聞き入れられる環境を作る必要もあります。
例えばSNSを活用して商店街のイベントを宣伝するといった意見や活用した結果、実績があっても、従来のやり方にこだわりたい人たちもいて、思うように新しい活動ができず、もっとコミュニケーションをとっていかなければならないなと、感じることもあります。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
僕は、津山はまだ伸びしろがある街だと思っています。なぜなら、食材も豊富で新鮮なものが手に入りやすく、それを適切に調理できる料理人がいて、個人店が高く評価されているからです。ゆえに津山はチェーン店が入ってきづらい地域だと言われています。
その良さをもっと沢山の人に知ってもらうことが商店街をより活気づけていくためには必要だと思います。仲間と開催するイベントはあえてビラを発行せず、SNSのみで宣伝しています。商店街でもそういったSNSを活用した宣伝が自由に行えるようになると、もっと多くの人に商店街に来てもらって、その良さに魅了された人が商店街の周りに住んでくれて、商店街を中心に町が盛り上がっていったらいいなと思っています。商売する人、住む人が定着することが理想ですね。
一今後の目標はなんですか?
今の商店街での活動だけでなく、これから商売をしたい人に対して、商店街との橋渡し的な存在として繋げていけたらいいなと思っています。商店街自体も、皆個々で頑張ってパワーのある街なので、もう少し変わっていけると思いますし、今後10〜20年は自分が繋いでいきたいですね。
ソシオ一番街は、組合員があって事務所があって事務員さんがいて、という商店街なんですが他の商店街にはうちみたいな形は残っていないので、そこは守っていきたいです。商店街では、アーケード解体の問題などもあるんですが、年配の先輩方を含め、商店街の5年後、10年後を真剣に考えていきたいので、人を「繋ぐ」というポジションにはいたいと思っています。
自分の使命としては、自分達の次の世代を早く見つけることですね。商店街で商売をすると言っても、自分の商売で手がいっぱいな方が多いと思います。自分も最初はそうでしたが、今では、商店街の仕事も日常の一部になってきています。自分が培ってきたノウハウを伝えていきながら、仲間を集め、皆で考えながら楽しい商店街を作っていきたいと考えています。
編集後記
商店街の一員として自然とリーダーを任されるようになった安達さん。
自分のように苦労する若者を生み出したくないと、商店街の為に色んな活動に積極的に関わり、人の輪を広げ、周りの人から自然とリーダーを任せられるような安達さんの圧倒的人たらし能力に私も魅了されてしまいました。
店名の「りべるたぁ ぱんだ」の由来は、イタリア語で自由を意味するリベルタ (Liberta) に自由気ままなパンダの姿を重ねて出来たもの。
自由になりたいと自分のお店を持った安達さんは自由になれたのかとお聞きすると、意外にも「不自由そうに見えますけど、自由にやらせてもらってます」とのこと。
安達さんの自由な発想と商店街への思いに共感してくれる“子パンダ”がこれから増えていきそうな予感がしました。