嬬恋村にはアーティスト活動をする上での条件で満たされている。

群馬県嬬恋村

よしむら きよか

吉村 清花

武蔵野美術大学彫刻科を卒業後、令和3年度に地域おこし協力隊として赴任。チェーンソーを使ったアート制作に取り組む。 令和5年度に空き家を購入し、リノベーション中。各市町村主催の空き家改修ワークショップへ参加した経験を基に、今秋、移住希望者向けに空き家改修ワークショップを開催予定。

一どんな活動をされていますか?

地域おこし協力隊として、今秋に空き家のワークショップを開催します。その他に、嬬恋村のHPのデザイン、パンフレットや観光協会内のPOPを作ったり、村の木を使った商品や作品を作ったり、木工のワークショップ講師などもしています。個人のアーティスト活動としては、公募展の作品作りをしています。人生のテーマとして、犬との関係性を木彫りで表現するということをしています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

アーティスト活動をしても良いと言われて嬬恋村に来ました。アートで村を活性化したいという想いがあるものの、まだ理解してくれる方や応援してくれる方が少数で、やりたいことが全てできている状況ではなく、道半ばであると感じています。知名度を上げながら、嬬恋村での理解者を増やしていき、やりたいことを実現していきたいと思います。

また、私が作りたい作品というのはテーマが決まっていて、自分の中から湧き出るものを作品にしています。制作には時間がかかり、商業目的で制作しているわけではありません。しかし、自分と向き合う大切な時間なので、作り続けていきたい、でもそれだけを作っているとお金にならず、日々の生活に困ってしまいます。そのため、アートで生活費を稼ぐ手段を見つけていきたいと思っています。

また、嬬恋村には木工所はあるものの、林業を営んでいる事業者がいない状況です。森林資源を保つことは、嬬恋村や日本にとって大事なことだと考えていますので、将来的には林業に何らかの形で携わっていきたいと思っています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

収入源の問題については、レーザープリンターを使い、お土産品の制作をしようと考えています。レーザープリンターだと、デザインを考え、それをレーザープリンターに入れれば、大量に同じデザインのものを作ることができます。それを売ることで、生活の基盤の確保ができれば、嬬恋村に長く定住できる状況になるのではないかと思います。

また、空き家改修ワークショップは、Instagramに空き家改修の動画を載せています。多くの反響があり、申込者も想定以上でした。安いお金で築40年以上の別荘を自分の力でリノベーションできる人が増えれば、若い方の移住が増えるのではないかと思います。また、将来的にどのように形になっていくのか、未知数の部分が多く、とても楽しみです。
ITでできそうなことは、デザイン業務については、PC1台あればできるので、ネットワーク環境さえあれば、在宅勤務ができますし、今私も不便なくできている状況です。

一今後の目標はなんですか?

アーティスト活動というのは私の中で生活の一部になっています。そのためその活動を一生していくことができるよう、生活の基盤を整えたいです。嬬恋村については、地域おこし協力隊として生活し、色々な面で周りの方に助けていただきました。アートや自分のできることで、貢献していきたいと思っています。

編集後記

嬬恋村に来る前は、アーティストとしての幅を持たせるために、海外に行って経験を積むというのがとても大事だと思っていたそうですが、今は、自分がやりたいことを伝えていく、提案してプレゼンをしていく、村内にある需要を見つけるなど、定住していても積める経験があるということが気づいたそうです。
村には、森に入り、植物のことを色々と教えてくれる方や、作品の材料となりそうな木材を無料で譲ってくれる方がいるそうです。こういった経験が今の作品作りに活きていると実感しているそうです。
移住して3年目、吉村さんは、地元に少しづつ根差しつつあるのではないかと感じました。
個人的には「お金があったらから海外を放浪してみた」ということをおっしゃっていて、私の中にこういう発想はないので、驚きました。

-コーディネーター紹介-

ID 群馬県嬬恋村

ながい ともえ

長井 朋恵

岩手県盛岡市出身。大学卒業後東京で就職、2005年にアデコ株式会社に入社。キャリアコーチとして、キャリアコンサルティングを行いながら、SIPの活動に参画。家族構成は、夫、娘(中1)、犬2匹の5人(?)家族。