一どんな活動をされていますか?
東神楽町の健康ふくし課で管理栄養士として働いています。
平成28年から健康食育タウン事業のスタートをきっかけにひがしかぐら健康くらぶを発足し、町民がいつまでも健康で元気に明るく過ごせるまちづくりをサポートしています。事業開始時は今まで自分たちが実施していた事業とどう整理をしたらよいかを考えることから始めました。東神楽町の町民の健康寿命の延伸と医療費の適正化を目的に置き、国の流れ、自分たちのやっていることを一枚の資料にまとめてみんなで認識を合わせるところを大事にしました。ひがしかぐら健康くらぶの活動の一例として、クリーンウォーク大作戦と題してごみを拾いながら歩数を稼いでまちをきれいにするイベントを開催しています。子供からお年寄りまで200名近い方に参加いただきとても好評なイベントです。
一今やっていることについての課題はなんですか?
東神楽町の高齢化率は約27%でほかの自治体よりも比較的低い数字ですが、今後は急激に上がっていく試算があり、先を見据えた対策が必要となります。そのため、今から町民の皆さんの健康リテラシーを上げて健康寿命の延伸に繋げられたらと思っています。
ひがしかぐら健康くらぶに参加し、楽しく仲間と歩いたり、運動や料理教室、各種イベントなどに参加することで、無意識に気がついたら健康になっていた、というしかけにしたいと思っています。そして、数値でからだを見える化するために、血圧計や体組成計などを町内の5か所に設置しています。
併せて、特定健診を受けていただくことで、血液データなどを確認していただき、無意識に普段楽しくやっていたことがこんな風につながっているんだ、という気づきの機会にしてもらえたらいいなと思います。やはり住民のみなさんが自身の身体の事を知ることができると、変わるために行動できると思いますし、そこを手伝えるような働きをしたいです。
また、特定健診の受診率が現在約47%なのですが、この数字を上げることも課題の1つです。特に40,50代の健診受診率が低い状況があり対象者には農家の方や自営業の方など様々で、健診の時間帯が合わない可能性があり、職種ごとにアプローチの仕方は変わると思うので、まずは対象者の実態を把握し、どのようにアプローチしたらいいのか考えたいと思っています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
高齢化率や特定健診の受診率の他にも、30代から50代の男性の肥満の割合が年々増えていることがわかっています。他にもひがしかぐら健康くらぶの会員数について現在は人口の1割である1,000人に満たず、毎年新規入会の方が100名以上いる一方で退会される方も同じくらいいます。
これらの問題は一見、関連性がないように見えますが、高齢者はもちろん、働き世代の方たちもひがしかぐら健康くらぶに参加し、楽しく活動していただくことでより健康に関心を持ち、特定健診を受けてみようと思えたりするのでは、と思います。そういった方たちがひがしかぐら健康くらぶに入会しやすくするには、どういった設計をしたらよいかなども考えていかなくてはいけないため、ITを活用できるのかもしれません効果のある事業展開実施のために、色々なことを試していきたいと思っています。
一今後の目標はなんですか?
これからはいかに異業種の方とコラボレーションして相乗効果を生み出すことができるか、まったく違う業種同士を掛け合わせることで、とても面白いことが起きたりするので、そうなったらいいなといつも考えています。地域おこし協力隊や地域活性化企業人が東神楽町にもいらっしゃるので、コミュニケーションをとっていけたらと思います。
町民の立場で考えて、例えば健診を受けても、受診結果を役場に持ってきてもらうことはハードルが高いと思うので、スマホで簡単に送れるようなしくみができないかといった相談を保健師から地域活性化企業人の方にさせてもらいましたが、個人情報保護の観点からうまくいかなかったこともありました。ただそのようにより良い仕組みづくりのためにいろいろな可能性について検討することがとても重要だと考えています。
編集後記
学生の頃に描いた夢をしっかり実現し、現在も楽しく働く松尾さんは凄く生き生きとしているように感じました。物腰が柔らかでとても親しみやすい印象の松尾さんですが、全日本バレーチームの追っかけをしていたことがあったり、栄養士を目指すきっかけのお話を聞き、好きなことに夢中で取り組む熱い一面も感じました。東神楽町の住民の健康を真摯に考えるまなざしがとても頼もしく、これからも地域住民をサポートしていく姿を見守れたらと思います。