日頃から防災意識を高く保ち、迅速な災害対応が可能な町を目指して

茨城県利根町

やざわ なおき

矢澤 直樹

利根町出身。平成6年に利根町役場へ入庁。入庁後は水道課に配属され、上水道事業に従事。 同時に利根町の消防団へ加入。消防団としては、当時の先輩の熱心な指導もあり、町の操法大会で優勝するなど、20年に渡り経験を積む。 現在は防災危機管理課の課長補佐として、消防団で得た知識も活かしながら、利根町の防災関連を中心とした業務に従事している。

一どんな活動をされていますか?

利根町役場の防災危機管理課の課長補佐として、防災係、消防交通係、警察とのやりとりを行なっています。現在はその中でも、特に防災に関する業務を中心に従事しています。具体的には地域防災計画の策定、計画に基づく運営を行なっており、災害発生時には、気象庁などから災害情報を収集し、住民の方の人命を守るための活動を行なっています。

また、平時の際は、住民の防災意識の向上を目的に、ホームページや町の広報誌を通して、避難の重要性を訴えかけています。しかしながら現状としては、災害発生時に全ての住民が避難しているのか、隅々までの安否確認が困難であり、町の区長さんの協力も仰ぎながら、利根町に暮らす全住民の安否状況の把握も行なっています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

避難情報発令時に使用するシステムが一つ一つ独立しており、災害発生時には、全てのシステムに対して人員を割り振る必要があるので、非常に不便に感じています。災害発生時に使用するシステムを一元化することができれば、避難情報を発出する側としては楽になると考えています。しかしながら、情報の発令内容がシステムによって異なるため、一元化は難しいというところが現状です。

また、利根町公式のアプリで防災関連の情報を発信しているのですが、アプリが住民にどの程度普及しているのか不明な点も課題として感じています。平時から、役場の掲示板や出前講座を通して広報活動をしているのですが、どれほど効果的な宣伝になっているのか、正直なところ分かっていません。何か革新的な告知方法があれば積極的に採用していきたいと考えています。

加えて、役場内の業務に目を向けると、議会の答弁書作成に時間を取られてしまうという悩みもあります。答弁書のボリュームが少量であればそれほど時間がかからないのですが、ボリュームが大きいと、答弁書の作成だけで、一週間手一杯になってしまうこともあります。例えば、議会の答弁書の叩きを作成してくれるツールなどがあれば、業務効率の改善に繋がるのではと考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

避難が必要な災害時には、住民に避難所へ避難してもらうのですが、避難されている住民の人数や名前を把握する必要があります。現状は、避難所への入場時に手書きで情報を書いてもらっているのですが、ITの技術を駆使して今よりも迅速かつ正確に避難所の情報を把握できるようになるのではないかと考えています。

一つの案として、避難所への入場をチェックイン方式にできないかと考えています。避難所への入場に必要なバーコードを発行し、そのバーコードを読み取り機にかざすことで入場できるようにすれば、スピーディに避難所の状況を把握することができると思います。

また、議会への答弁書の叩き台の作成を行うAIの導入についても、是非とも検討していきたいです。完璧な答弁書ではなくとも、叩き台を作成してくれるだけで答弁書作成に費やしていた時間を他の業務に充てることができるので、将来的に実現したいことの一つですね。

一今後の目標はなんですか?

まずは住民の皆さんに対して、利根町アプリの普及を推進していきたいと考えています。
利根町の防災関連の情報は一通りアプリに掲載しているので、町の皆さんには是非とも活用していただきたいです。利根町は高齢者の方が多く、そのような年齢層の方は、そもそもアプリを見る習慣がないと思うので、どのようにアプリの存在を知っていただき、活用していただくかはこれからも考えていきたいポイントです。

また、町の防災訓練の参加率も高めていきたいです。11月5日の防災訓練には、全36地域中、30地域が参加の意思を示してくれました。全地域の防災訓練参加を目指し、各地区の区長さんのところへ出向いて、訓練への参加を呼びかけ続けたことで、多くの地域が参加してくださることになりました。地区との連携はこれからも続けていきたいと思っています。

編集後記

矢澤さんは平時から、利根町の住民の安全を守るために、精力的に活動されていることがお話から強く伝わってきました。
また、矢澤さんはどのような工夫をすれば、より確実に住民の命を守ることができるのか。利根町全体の防災意識を高めることができるのか。常に課題感を持って、未来思考で日々の業務に従事している印象を受け、人命に関わる仕事に従事する人物としての責任感を感じました。

SIPメンバーも、矢澤さんが感じている課題を受け止め、議会の答弁書の作成の効率化や、避難者を正確に把握する方法の模索など、理想の姿の実現へ向けて尽力して参ります。

-コーディネーター紹介-

ID 茨城県利根町

すが ゆうき

菅 佑樹

2019年 アパグループ株式会社に入社。フロント業務や、新規ホテルの開発業務を経験。
2021年 セイハネットワーク株式会社に入社。英会話講師や教室運営業務に従事。
2022年 Modis(現AKKODiS)に入社。ソフトウェア開発の下流工程業務に従事。その後、開発の上流工程のサポート業務に携わり、現在に至る。
地域の課題に向き合うことで、課題解決の具体的なプロセスを現場で経験し、地域の活性化と自らの成長を目標に掲げSIPに参画。