一どんな活動をされていますか?
阪南市市民活動センター「夢プラザ」の運営を受託している「ぽれぽれ広場」を運営しています。
ぽれぽれ広場は阪南市を丸ごと一つの企業と見立て、「経済」「福祉」「教育」「子育て」「防災」「歴史の継承」を一つにまとめることを目標としています。
ぽれぽれ広場を立ち上げたきっかけとして、自分自身18年ぶりにUターンで阪南に帰ってきたときに、閉まっている店が多かったり、昔元気だったおじいちゃんおばあちゃんから元気がなくなってしまっていたり、自分のいた頃と比べて阪南のまちが元気をなくしているように感じました。
そこで「どうやったら阪南が元気になるだろうか」と考え、まずは市内でも人口の多い高齢者の方を元気にしようと思いました。美容関係の仕事で取得した資格を活かし、単身で近くの高齢者施設に飛び込み、「ハンドマッサージやメイクで皆さんを元気づけたいんです」とお伝えして許可をいただきました。そして実際にメイクをしてみると、立つのもつらかった方が久しぶりのメイクに喜んで何度も立ちあがって鏡を見られたり、「お出かけしようかな」と明るい気持ちになられるなど、自分の行動で確かに人が元気になることを実感しました。
その活動を数カ月行ったところでコロナの影響により中止となりましたが、そのタイミングでちょうど市民活動センター主催のプランコンペの募集があり、これは一つの施設だけでなく、より大きい規模で阪南を元気に出来る機会だと思い、友人たちとぽれぽれ広場を立ち上げて応募しました。先ほどお伝えした阪南市を丸ごと一つの企業と見立てた上で、世代を超えてコミュニティを繋いでいくことをテーマに発表を行い、大賞を受賞することができました。
この受賞をきっかけに、ぽれぽれ広場は本格的な活動を開始し、2年後には阪南市による阪南市市民活動センターの運営業務委託の公募型プロポーザルに応募。契約候補者第1位として無事に受託することとなり、現在に至ります。
一今やっていることについての課題はなんですか?
とにかく人手不足。ただ新しい人なら誰でも入れるというわけにもいかないので、人を入れるにあたってのシステム作りもとても重要だと認識しています。そこでぽれぽれ広場ではその点を見据えた定款の見直しを行いました。
また、市民活動センターでは「夢プラザサポーターズ」という夢プラザの運営サポートやイベントの企画、情報発信などを手伝っていただけるサポートメンバーを募集しようとしているのですが、具体的に何をしてもらいたいかという部分が示しにくく、なかなか動けていない状況があります。
特に限られた時間の中で参加される若い方には「明確な役割」「目的意識」「その先に何があるか」まで示して伝えないと、なかなか来てもらえない印象があります。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
情報発信の仕方はいろいろ工夫できると思います。
例えば各登録団体の情報の見える化やイベントの周知、募集について、「情報の発信」だけでなく、その情報の発信を通じて「どのような人を集めたいか」というところまで見据えて発信する必要があると思います。
来て欲しい人について、例えば「楽しそうだな」となれば人は集まると思いますが、「何をどう楽しむのか」という部分はイメージとして伝えにくい。そういった部分も含めて伝えなくてもパッと頭が働いて自走してくれる人が来ていただけるとありがたいです。そこから企画に入って新たなものを生み出してもらえるのが理想です。
阪南にそういった人がいないわけではなく、インスタグラムなどでも阪南の良いところを自発的に情報発信している若い方を見かけます。ただ、卒業して就職されたのか、その後の更新が止まってしまう。本来このような能動的な方たちが揃ってくれたらいいなと思っています。
一今後の目標はなんですか?
市民活動センターについて、受託している期間として残り2年しかありませんが、ぽれぽれ広場が目指しているゴールに向けてあと2年では足りないと感じています。人が集まらないことにはなかなか動き出しにくいですが、今までの活動で見えてきたものを拾い上げて、点と点を繋いで線として繋いでいきたいです。
ぽれぽれ広場として一つのゴールは防災。地域のコミュニケーションが活発であれば防災の役割も担えると思います。例えば災害時に「あの家には足の悪いお年寄りがいる。助けに行こう」となったり、困ったときに知っている消防団の方を頼れたり、そうなれば「なくさないでいい命」を救うことが出来ると思います。
これからも「経済」「福祉」「教育」「子育て」「防災」「歴史の継承」をテーマに阪南のまちを繋いでいき、大好きな阪南のまちを守っていきたいです。
編集後記
この一年で尾崎別院様と連携した夜市の成功や、同じ建屋に入っている市民活動センター、公民館、社会福祉協議会の代表者が協力し合っての夜店の開催など、今までになかった新しい取り組みを成功させている佐渡さんですが、その原動力はとてもシンプルだと感じました。
「阪南のまちが好き。だから元気にしたい。そのために自分の力で何が出来るだろうか」
その一心で高齢者施設を単身回られたというエピソードを聞いた際に「行動力がすごいですね」とお伝えたところ「自分がやりたくてやっていて、かつ自分の出来ることで動いているので、無理をしている感覚はないです」と仰っていたのが印象に残っています。まさに愛する阪南のために「躍動」されているなと感じました。
インタビュー中もユーモアを交えた語り口で堅苦しさを感じる場面は一切なく、このように等身大で本音ベースの活動をされているからこそ、前例踏襲の形式的な施策ではなく、市民目線の魅力的な施策を行えるのだと思いました。
愛する阪南のためにエネルギッシュに動かれる姿は、まるで阪南を照らす太陽のようでした。