一どんな活動をしていますか?
2018年から天龍村の地域おこし協力隊として入村しました。もともと長野県に住んでいて農業をしていましたが、獣害に苦労したことから、入村後は猟師としての勉強、技術習得に励んでいました。
ほどなくして、茶農家を営んでいらっしゃる皆さまのお手伝いをしているうちに、果樹よりも気候や手入れに敏感で、様々な味や香の表情を見せるお茶に感銘をうけ、その魅力や茶農家としてのやりがいを見出して、お茶の栽培を営むようになりました。今では天龍村の25%茶畑をもつ茶農家として、希少茶である天龍の中井侍銘茶の栽培から加工まで一貫して行うようになりました。
栽培されたお茶は裏千家の先生の目に留まり、先生と一緒に粉末緑茶「天流(アメノナガレ)」を開発しました。石臼で丁寧にひかれたお茶は1時間かけて、ようやく20g程度作ることができます。
お茶に関連して、中井侍製茶工場の横では雄大な天龍川を望みながらお茶が楽しめるようにとテラス風の茶の間を設ける予定でいます。天龍村の自然と、お茶の香りと味を堪能できる、人々の憩いの場になればと考えています。
お茶以外では、映画の上映会などのイベントを催すなど、自分ができる範囲ではありますが、村の方々の娯楽を提供しています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
天龍村では80歳を超える高齢の方が自動車を運転し移動しています。急勾配の斜面がほとんどである天龍村では、遠くない未来に多くの方が移動に苦労するようになります。それについて不安をもっていらっしゃる方も少なくありません。イベント等、娯楽が増えても、いずれ外出が困難になり、人々の交流も思うように進まなくなるかもしれません。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
移動の問題が少しでも解決するなら、高齢の方々の生活や娯楽の不安を軽減し、より楽しく過ごせるようになるかもしれませんね。どんなイベントがあるのかのみならず、どんな不安があるのかだけでも共有できるようになれば、何か変わるかもしれません。
一今後の目標を教えてください
地域おこし協力隊の3年の任期を終えたあとは、自分のやりたいことをいろいろやってみたいと思います。天龍村に残るのも選択肢の一つです。何かをやるぞ!と自分が率先して村のために意気込むのは性には合いません。みなさんが楽しめるよう、自分がどう関われるのかを考えながら、自分も楽しめるようにしていきたいと思います。
編集後記
インタビューのあと、粉末緑茶をお譲りいただきました。天竜川の雄大な風景を思い出しつつ、豊かな香りと鮮やかな苦み、さわやかな余韻を楽しむことできました。それも贅沢なひと時でしょう。
自分が楽しみながら、周りの人々も豊かにしようとする姿勢は、物事を継続的に進める上では大切なことだと思います。本当に自分自身がやりたいことをやれてるのかを考えさせられるひと時でした。